Books

宮内泰介・三上直之編著『シリーズ 環境社会学講座 6 複雑な問題をどう解決すればよいのか―環境社会学の実践』(新泉社)を2024年3月に刊行しました。

つねに複数の意味が錯綜し、かつ問題があちこちに埋め込まれ、何が問題で何が解決なのかがはっきりしない「環境問題」をどう解くか。環境社会学の実践的な蓄積をわかりやすく伝えるべく、基地問題、中山間地問題、歴史的環境、獣害、再生可能エネルギー、気候変動、原発などをとりあげながら、直線的な「解決」ではない、プロセスとしての「解決」を多角的に論じました。

 

→新泉社サイトでは、立ち読みができます:https://www.shinsensha.com/books/6146/

 

 

 

 

Miyauchi, T., Fukunaga, M. (eds) Adaptive Participatory Environmental Governance in Japan: Local Experiences, Global Lessons をSpringer社より刊行しました。日本における自然資源管理、里山保全活動、森林のリクリエーション利用、農業用水、生物多様性保全、獣害対策、福島避難民支援、再生可能エネルギー、流域連携、気候変動などの豊富な事例から、ボトムアップで順応的な環境ガバナンスのあり方を論じています。宮内泰介・福永真弓編。執筆者:平野悠一郎、田代優秋、松村正治、鈴木克哉、西城戸誠、丸山康司、菊地直樹、富田涼都、佐藤哲、Leslie Mabon、平井太郎、三上直之他

宮内泰介・上田昌文『実践 自分で調べる技術』(岩波新書)を2020年10月に刊行しました。宮内『自分で調べる技術』(岩波アクティブ新書, 2004年)の全面改訂版です。

 

目次詳細

プラス1ピースの読書会 第13回『実践 自分で調べる技術』


冊子『奄美大島 打田原の生活誌 : やま・さと・うみのいとなみ』(金城達也・寺林暁良・宮内泰介・和田昭穂)を発刊しました。奄美大島の奄美市笠利町にある打田原(うったばる)という小さな集落における自然と人とのかかわりについて詳細な生活誌です。北海道大学HUSCAPからPDFをダウンロードできます。http://hdl.handle.net/2115/81413

関連記事:奄美新聞2021年6月6日「環境文化型、どう継ぐ?」

 

ブックレット『聞き書き いりこづくり海辺から』(藤林泰・宮内泰介・金城達也編)を発刊しました。山口県の浮島、長崎県の佐世保市小佐々町神崎地区および雲仙市南串山で、それぞれイワシ漁業・煮干し(いりこ)加工に長年たずさわる3人の方の聞き書きです。

北海道大学HUSCAPからPDFをダウンロードできます。

http://hdl.handle.net/2115/79807

 


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科研・基盤Aの新しい研究プロジェクトが始まりました。コミュニティを「コミュニティ実践community practices」によって日々生成されるプロセスとしてとらえ、個人にとっての重層的なコミュニティのあり方を考えます。

こんなことを書いてきました【書籍・論文等一覧】

書籍、論文、エッセイなどのリストです。一部全文が読めます。



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Books

宮内著『歩く、見る、聞く 人びとの自然再生』(岩波新書)を2017年2月に発刊しました。

 

歩いて、見て、聞いたさまざまな現場から、自然とは何か、自然を守るための社会的しくみはどのようなものか、どうすれば多様な価値の中で合意できるのか、についてわかりやすく書きました。

研究紹介(いいね!Hokudai)


Books

宮内編『どうすれば環境保全はうまくいくのか-現場からの「順応的ガバナンス」の進め方』(新泉社)を2017年3月に発刊しました。環境保全の政策や活動をボトムアップで持続的に進めるにはどうすればよいのかわかりやすく、かつ実践的に論じました。

 

 

研究紹介(文学研究院サイトLab.letters)


研究紹介(人文学カフェ)

研究紹介(日本ジオパーク大会講演)



Misc

安保法案に反対する北海道大学有志の声明

安保法案に反対する北海道大学有志の声明を出しました。

NPO法人さっぽろ自由学校「遊」


市民の学びの場、さっぽろ自由学校「遊」です。


[連載]フィールドワークな日々

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2023年

4月

20日

【93】中頓別の生活史を聞く

昨年七月、道北の中頓別町で、学生たちと一緒に、高齢者の方々のお話を聞く機会を得た。九人の話し手は、昭和五年生まれの人が最年長で、最年少は昭和18年生まれだった。聞いたのは、それぞれが生きてきた歴史。そのインタビューをもとに、ただいま聞き書きの冊子を作成中だ。

 

話を聞いた一人、Mさん(女性)は、樺太(サハリン)生まれだった。ソ連との国境近くの敷香(しっか)という町で生まれ育った。十三歳のとき、ソ連侵攻を前に列車と船を乗り継いで北海道に引き揚げた。叔父さんがいた中頓別に住み着みつくことになったが、そこからずっと働きづめで、「貧乏のどん底」の生活を送らざるをえなかった。

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2022年

12月

16日

【92】森本孝さんの「あるくみるきく」生き方

二〇二二年二月二四日、ロシアがウクライナへの侵攻を始めた同じ日、私の大切な友人である森本孝(ふりがな・たかし)さん(一九四五年生まれ)が亡くなった。感情を大きく揺さぶられる日になった。

 

森本孝さんは、日本中の漁村を歩き、そして、書いた人だ。

 

日本中を歩いた民俗学者、宮本常一が一九六六年に立ち上げた「日本観光文化研究所」。立命館大学探検部出身の森本さんはそこに、誘われるまま二五歳のときに加わった。日本観光文化研究所は、宮本常一を慕う若い人たちが集まって、一人ひとりが日本中を歩く、という在野の研究所だった。そして彼らが書いた文章を載せた『あるくみるきく』という雑誌を発行した。旅費は出たが、給料は出なかった。

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2022年

10月

28日

【91】世界遺産の集落から

九月、三年ぶりに奄美大島へ行った。奄美は、徳之島、沖縄本島のやんばる、それに西表島と合わせて、昨年、世界自然遺産に登録された。

 

その世界自然遺産のエリアのすぐそばにある西仲間という集落に通い、継続して話を聞いている。今回は短い滞在だったけれど、六名の方に合計十四時間のとても濃密な聞き取りを行なうことができた。私たちが聞くのは、主にその人の生活史。中でも、地域の自然とのかかわり、それに生業だ。

 

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2022年

6月

25日

【90】ややこしい人たちと社会について

エリザベス・ストラウトのピューリッツァー賞受賞小説『オリーヴ・キタリッジの生活』(早川書房)には、米国の田舎町の、ごく普通の、とてもややこしい人たちが、数多く登場する。オリーブという元高校教師の主人公も、その中の一人として、皮肉屋で、強情で、しかし悲しみを背負った人生を送っている。そんな、なにかしらの困難と悲しみと喜びを背負った人びとが次々に登場し、複数の物語が紡がれるこの小説は、米国で広く人気を博した。

 

この小説に接したとき、最初、登場人物たちの「ややこしさ」「しょうもなさ」が、我が身を見せられるようで、読むのが少しつらかった。しかし読み進めるうちに、一人ひとりが、かけがえのない、いとおしいものとして読めてきた。

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2022年

3月

16日

【89】山鹿順子さんのこと

若いころに東京でお世話になった山鹿順子(ふりがな/やまかじゅんこ)さんが八五歳で亡くなってから、一年経つ。山鹿順子さんは、初期のころからアジア太平洋資料センター(PARC)にかかわっていた一人で、そののち翻訳会社「リングァ・ギルド」を立ち上げ、晩年は横須賀で反戦運動にかかわっていた、という人だ。

 

一九三五年に朝鮮半島で生まれた山鹿さんは、戦争が始まる前に日本に引揚げ、戦後、障害児の施設で働いた。一九六〇年代には、ソーシャルワーカーのための国際プログラムに参加するためアメリカに渡り、帰国後ベトナム反戦運動にかかわったあと、一九七一年に再び渡米して大学院で社会福祉を学ぶ。再び帰国したころ、生まれたばかりのアジア太平洋資料センター(PARC)にかかわりはじめた。さらに、漁民研究会、エビ研究会(鶴見良行さん、村井吉敬さんら)などにもかかわり、そして、僕が山鹿さんに出会う「自主講座」のメンバーでもあった。

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2021年

11月

17日

【88】学生たちの調査実習

九月下旬、学生たちを道北の中頓別町に連れていき、調査実習を実施した。毎年恒例の学生調査実習だが、昨年はコロナ禍で実施できず、今年も七月実施予定だったのを二回延期して、ようやく実施することができた。

 

調査実習って何をするの? 私のゼミの場合は、ほとんどがインタビュー。中頓別町では、三日間で十二組十八名の方にインタビューした。町役場職員、鹿肉加工業者、酪農家、コミュニティ銭湯経営者、まちづくり協議会メンバー、森林組合組合長、認定こども園園長、「自然学校」職員、元地域おこし協力隊の菓子店経営者など、多彩な人びとが相手だった。

 

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2021年

7月

07日

【87】スコットランドのコミュニティ政策に注目する

周知の通りスコットランドは、一九九九年以来自治政府をもち、議会をもっているが、その議会選挙がこの五月に行われた。スコットランド民族党(SNP)が今回もまた勝利し、公約通り二回目の独立の住民投票を行うことを宣言したことは、日本でも報道された。二〇一四年に行われた一回目の住民投票では独立賛成派が負けたが、その後イギリスのEU離脱を受け、もともと親EUのスコットランドでは、二回目の住民投票をという声が上がっていた。ちなみにスコットランド民族党は、北欧型の社会民主主義を目指す政党、ととりあえず言える。

 

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