空疎な「強いリーダーシップ」

今日各社から出た世論調査によると、なぜか、自民党支持が高いレベルを保っている。同じ世論調査では、相変わらず多くの人によって郵政は争点とされていないし、「刺客」のやり方も支持されてはいない。自民党がマニフェストで出している政策が高く支持されているわけでもない。それでも自民党に投票する、という人が多いのだ。


結局のところ、小泉首相が支持されているということだ。それも小泉首相の政策の中身が支持されているのではなく、「強いリーダーシップ」が支持されているのだ、という分析があったが、なるほどである。


エーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」までここで持ち出すつもりはない。しかし、政策の中身が支持されないのに「強いリーダーシップ」が待望されているとなると、それは危ない事態だと言わざるをえない。


世の中が複雑なのだから、政治も政策も、複雑にならざるをえない。郵政民営化YESかNOかという問題ではもちろんないのに(何をもって「民営化」と言うか、郵貯・簡保のお金をどこに出していくかという問題と郵便事業をどうしていくかという問題はまったく方向が違う議論、など)、面倒くさいのに、それを単純な図式にして「賛成か反対か」を問うというやり方は、はっきり言って、やってはいけないことだ。


もちろん、あまりややこしいままだと、役人の報告書になってしまう。複雑な話を図式化して示す、というのは政治家の役割かもしれない。しかし、限度がある。


「強いリーダーシップ」を演出しながら、単純な図式で国民を楽しませてきた小泉首相は、実のところ、どんどん人びとを悪い方向へ持って行っている。もうやめろ、と言いたい。