ソロモン諸島で暴動

4月18日から、突然ソロモン諸島の首都ホニアラで暴動が起きた。チャイナ・タウンが暴徒に襲われ、火がつけられた。


この3月、3週間くらいソロモン諸島に出かけた。ちょうど総選挙のさなかだった。マライタ島でも、選挙の話で持ちきりで、私の友人たちは、これまた私の友人のある人物を候補者にして、派手な選挙運動を展開中だった。


選挙運動の演説を聞いていると、いくつかの言葉が注目された。一つは「腐敗(corruption)」、もう一つは「中国人("wako")」である。現政権は腐敗に満ちていて、とくに華人商人たちとつるんでいる、という攻撃がなされた。政権の腐敗を突くのはいいとして、華人を名指しでターゲットにするのは、ちょっといただけない、と僕は正直思った。華人の一部と政治家たちがお金でつながっているのが本当だとしても(たぶん本当だろう)、華人攻撃を煽るような演説は、政治家はすべきではない。しかし、「腐敗」「華人」は、聴衆には訴える力をもったようだ。「腐敗」を言えば言うほど、「いい演説だった」と聴衆に評価されていた。


選挙の結果、多くの新しい国会議員が生まれた(僕の友人も当選した)。「変化」を望む民意が現れたとも言える。しかし、新しい国会議員たちによって4月18日に選出された新首相は前の副首相スナイダー・リニ(Snyder Rini)氏だった。そのバックには前の首相アラン・ケマケザ(Allan Kemakeza)がいた。


この「変わらない政権」に失望した人々の一部がホニアラで抗議行動を始めたのだ。そしてそれがチャイナ・タウンでの暴動と化した。警察も止めることができず、見守るのみだった、と現地紙Solomon Starのウェブ・サイトは伝えている。


「変わらない政権」への抗議は十分に理解できる。しかし、それが華人をターゲットにした暴動へつながる“気分”を作ってしまったのは、リーダーたちの責任だろう、と僕は考える。


(現地の情報は、Solomon StarとSolomon Islands Broadcasting Corporationのサイトから得た)