『コモンズをささえるしくみ』 

『コモンズをささえるしくみ――レジティマシーの環境社会学』という編著を、新曜社から出した。この本はいわば井上真・宮内泰介編『コモンズの社会学』(新曜社、2001)の続編に当たる。当初の企画のときにはもっっぱり「コモンズの社会学Part2」と仮に呼んでいたくらいだ。

 

『コモンズの社会学』は、たしか環境社会学会のエクスカーションで愛媛県内子町の町並みを歩いていたときに、古川彰さん(関西学院大学。当時は中京大学)から突然「環境社会学のシリーズを出すけれど、コモンズの巻を担当しない?」と言われたことから始まった。

 

でもって『コモンズの社会学』がまあまあ売れた(この手の本としては、ですよ)ので、パート2を、という話が新曜社の編集者小田亜佐子さんと僕の双方から何となく同時に出た。実際、「コモンズ」なんてそんなに真剣に考えたことなかった。それが古川さんに「担当しない」と言われてから、調査・考察を本格的に始めると、おもしろかった、というわけだ。そのあたりの考察は、『コモンズの社会学』に少々間に合わなかったこともあり、パート2構想が、『コモンズの社会学』が世に出るが早いか、始まった。

 

そこから、本を出すことを明確な目標とした研究会を仲間と始めた。でも、その研究会は、やってみるととってもおもしろかったので、逆になかなか本は出なかった。そして結局出たのが今月だから、足かけ5年近くかかったことになる。5年というのが、本の構想から出版までの期間として短いのか長いのかよくわからない。が、この5年間の中にも濃淡はあった。研究会を組織し、その議論の水準を維持しながら進めていく、というのは、なかなかたいへんだが、楽しいプロセスでもあった。(ちなみに、その前に出した『カツオとかつお節の同時代史』(藤林泰・宮内泰介編、2004年、コモンズ)は、構想から出版までに10年近くかかっている)