地域の地質を知る本

日本のどこへ行っても、地元の本屋や図書館で郷土の本を見るのは楽しい。どの地域でも、地域の出版社ががんばっていて、いろいろな本を出している。おもしろいのは、同じ“郷土本”でも、場所によって力点が違うところだ。歴史に力点があるところ、自然に力点があるところ、など方向性がいろいろある。もっと言えば、やたら郷土本が多い地域と、あまり熱心でない地域の違いもある。がんばっている出版社があるかないかの違いなのか、それ以外の要因があるのか、よくわからない。


北海道は、やはり自然ものが多く、また、北海道を楽しむための本も充実している。昨日本屋で衝動買いしてしまったのは、『歩こう!札幌の地形と地質』という本。前田寿嗣さんという中学校の先生が書いている。カラー写真や地図がたくさん入った、一見ウォーキングのための本のように見えて、中身は地質や地形についての本、というとってもユニークとも、マニアックとも言える本。


著者の意図としては、「地質巡検案内書」(「あとがき」より)らしいのだが、出版社側の作り方がよかったのか、「地質巡検」というより、地質を楽しみながら札幌を歩こう、みたいな感じに仕上がっている。


地域の資源を掘り起こそう、という動きは、町の歴史的な遺物、町並み、自然などに広がっているが、地形や地質も、そこに加えていいのだろう。そんな本がもっといろいろな地域に出てくる、しかも、誰もが読みやすい本として出てくれば、地域資源発掘路線は、ますますおもしろくなる。