モバイルギア復活待望論

3月後半、ソロモン諸島に出かけていた。


1992年からほぼ毎年ソロモン諸島に通っているが、4回目の調査の1996年、初めてコンピュータを持参して行った。コンピュータと言っても、電気のないところだから、通常のノートパソコンは持っていけない。持っていくのは、NECのモバイルギアという製品である。今回もまた、持っていった。


最初に持っていったのはMS-DOSベースのモバイルギアで、そのあとWindowsCEのモバイルギアが登場してから、2つの機種を使った。現在使っているのは、モバイルギアR330という機種。1999年に発売されたものである。いずれも画面はモノクロ。


これらのモバイルギアは、単3電池2本で動く、というのが最大の特徴である。世界広しといえども、乾電池で動くコンピュータはこれだけだ(たぶん)。だから、手放せない。


もう一つ、このモバイルギアで特徴的なのは、基本OSや基本ソフトが、内蔵のROMに入っていることだ。通常のWindowsならCD-ROMを使って再インストールしなければならないようなことも、内蔵ROMから行ってしまう。これは安心である。ただし、あとから入れたソフトやデータなどはなくなってしまう。だから、バックアップをしておいて、いざというときにリストアできるような状態にしておくと、これまた簡単な作業で復旧する。


このモバイルギアに、Pocket WZ Editorを入れて使っている。ほぼ、WZ Editor専用コンピュータである。R330には最初からATOK(Pocket ATOK)が入っていることも利点。データは、内蔵メモリ(ただしわずか16MB)かPCカード(現在はアダプタを使ってSDカードを使用)に入れる。


しかし――。モバイルギアはこのR330以降、新機種は出ていない。比較的バッテリーが長持ちするモバイルPCが登場し、モバイルギアの役割は終えたということだろうか(僕自身も、ソロモン諸島での調査以外では使っていない)。しかし、乾電池で動くという利点は何ものにも代えがたい。私はやっていないが、単3充電池と、ソーラーギアなどの太陽発電充電器でも持っていけば、電気のないところで永久にこれが使える。


まったく実現されそうにない希望を言うと、R330を基礎に、USBインターフェースや無線LAN、有線LANを入れ、乾電池による持続時間を伸ばした機種を出してほしい(R330は、エネループで10時間くらいか)。もっと欲を言えば、画面ももう少し大きいとよい。しかし胴体はこれ以上大きくしない。キーボードはR330のがベスト。


マーケット、ないだろうなあ。