本山美彦『金融権力』を読みながらNHK「ドバイ 砂漠にわき出た巨大マネー」を見る

「金融」がおかしな膨張を続けているさまを批判的に描いた本山美彦『金融権力』を読んでいた週末、NHKで何とも奇妙なドバイの「急成長」を描いたドキュメンタリー(NHK総合「NHKスペシャル 沸騰都市・第1回 ドバイ 砂漠にわき出た巨大マネー」2008年5月18日放映)を見た。


本山『金融権力』は、アメリカの一部の勢力が、「金融技術」というおかしな道具とそれを使わせるしくみ(格付け会社の強引な格付けなど)を無理矢理世界中に広げ、世界の経済をめちゃくちゃにした、と論じる。


NHKのドキュメンタリーは、ドバイが、実体経済のないまま、不動産のみで数年のうちに急成長を遂げたさまを描いていた。しかし、僕には、なぜそんなことが可能なのか、今ひとつよく飲み込めなかった。要は日本のバブルと同じということか。


誰にも「飲み込めない」のかもしれない。マネーが、僕らの制御可能な枠を何段階も飛び越えているさまがそこにある。僕らは「あ~あ」と半ば感嘆しながら、半ばあきらめ気味に、眺めているしかないのだろうか。


本山が、そうした「あ~あ」なさまにに対抗するために取り上げているのは、フランスの思想家プルードンと、アメリカで始まったESOP(従業員持株制度)という制度。ESOPは、要は、人々が株を持ちあい、みんなで資本主義を制御していこうというもの(らしい)。