環境政策における規制的手法をめぐって 

環境経済・政策学会、環境社会学会、環境法政策学会の環境関係三学会の共催で開かれたシンポジウム(2010年6月20日、京都・立命館大学朱雀キャンパス)に参加。テーマは「環境負荷に対する規制的手法」。1970年の「公害国会」以来、規制的手法は日本の環境政策の軸に据えられてきたが、近年評判が必ずしもよくない。それをもう一度考えてみようという趣旨。わざわざ京都まで来た甲斐があり、おもしろいシンポジウムだった。


元環境省の西尾哲茂さん(早稲田大学)が、実際に法制度に携わった経験から、「当初はエンドオブパイプアプローチが主流だったが、次第に限界が見えてきて、環境法もあっちへふらふら、こっちへふらふらしてきた。この先は、規制的手法を超えて、もっと先を見すえた政策が必要ではないか」。環境経済学の松野裕さん(明治大学)は、「直接規制と経済的手段とには、双方に得意・不得意がある。第3の道として自発的アプローチ(VA: Voluntary Approach)が注目されている。しかし、自発的アプローチ(VA)が効くには、直接規制がやはり必要」。環境社会学の藤川賢さん(明治学院大学)は、「可視性がある場合に規制的手法は有効だが、そうでない場合は、有効でない。また、規制的手法は問題の単純化をもたらす。規制的手法を補完する住民参加(監視、可視性、緊張感、ほめる…)が重要なのではないか、また、規制による問題単純化を防ぐ順応性が重要なのではないか」。


結局のところ、まとめると、(1)直接規制、(2)経済的手段、(3)自発的アプローチ、(4)住民参加の4つの手法があり(たぶんカテゴリーはもっとあるだろうが)、そこで、それぞれの手法を状況に応じて組み合わせるポリシーミックスと順応性が大事になってくる、ということか。