シアトル市民活動視察3日目および4日目(まとめて)

 

3日目(10/31)と4日目(11/1)は、シアトルでP-Patchと呼ばれるコミュニティ・ガーデンを訪れた。


Belltown P-Patch(http://www.seattle.gov/neighborhoods/p-patch-community-gardening/p-patch-list/belltown)は、シアトルの中心街の中にある。周りはオフィスやアパートメントが建ち並ぶ。港がすぐ。この地に緑が欲しかった住民たちが市に働きかけ、1993年、残った空き地を市が購入。住民たちは、Neighborhood Matching Fundを受けて、ここをP-Patchにする。


町中だけに、小さなP-Patchだ(0.21エーカー)。一人ひとりの区画も小さいが、それぞれ、花を植えたり、野菜を植えたり、ハーブを植えたりしている。コンポストなどは共用。また、貧しい人たちに食料を供給するための畑もあり、ここでは"Giving Garden"と呼んでいる。ガーデン参加者はここに集まり、パーティも開く。


全体のコーディネートをしているクリス・ゴーリーさん。「今の参加者は38人。みんな役割があるの。Giving Gardenに責任を持つ人、コンポストに責任を持つ人など。年間35ドルを払えば誰でも参加できます。私は、全体のコーディネートだから、そうね、だいたい毎日来ていますよ」。


すぐそばに3つの古い家がある。昔港湾労働者が使っていたものだ。現在1つがP-Patchのグループ用に使われている。これも市のMatching Fundを使って整備した。あとの2つは、市の事業で"artist in residence"として芸術家が住んでいる。そういえば、このP-Patch全体がアートに満ちている。畑の形もおもしろいし、周りの塀には絵が施されている。


そんなところだから、散歩に訪れる人も多い。私たちが訪れた短い間にも、何組もの人びとが散歩に来ていた。


(参考→ Glenn MacGilvra, “Belltown P-Patch and Cottage Park” in _Making Their Own Plans_


対照的に、南シアトルにあるBradner Gardens Park(http://www.bradnergardenspark.org/)は、住宅街の中にある、大きなP-Patchだ(1.6エーカー)。ここはもともと公園だったものだが、市がそれを民間に売ろうとしているのを住民たちが働きかけて阻止したものだ。住民たちは、単に公園として残しただけでなく、それを、やはり市のMatching Fundを使ってP-Patchにした。各自の畑だけでなく、子供用の畑、実験用の畑、それに、装飾用の珍しい植物など、多彩なガーデンである。実験的な部分や教育的な部分は、2日目に訪れたSeattle Tilthと連携しているようだ。


こちらのP-Patchも、アートに満ちている。水道管には、絵が施されている。ベンチもちょっと飾りを施している。オハイオ州の農家からネットで(!)購入した風車も置かれている。アートなかかしも堂々と立っている。太陽光発電パネルも設置されている。ところどこにベンチも置かれていて、歩いていて楽しい。


シアトルのP-Patchは、地域の人たちが集まる場となっていて、コミュニティ醸成の核になっている。


ところで、Matching Fund(http://www.cityofseattle.net/neighborhoods/nmf/)とは、日本語にすれば「まちづくり基金」。住民グループが地域のために行うさまざまな活動に柔軟にお金を与える制度で、シアトルで1989年に始まり、現在年間2億円くらいが市の予算から使われている。これまで回ってきたグループの人は、どの人もこのMatching Fundの恩恵に受けていて、この制度のあるシアトルを誇りにしていた。


P-Patchはシアトル中に73あり、全部で2056家族が参加している。その一つ一つが個性的だという。