市民による調査2つ

本日いただいた2つの調査報告書。


一つは浦安郷土博物館からの『ハマん記憶を明日へII(聞き書き報告書2)<女性・子ども・水産関係以外の職業者編>~「黒い水事件」から50年』。1958年、本州製紙江戸川工場の悪水放流により被害を受けた浦安の漁民が同工場に乱入した。この事件をきっかけに政府は「水質ニ法(公共水域の水質の保全に関する法律)」と「工場排水等の規則に関する法律」を制定。当時の関係者の聞き書きを浦安郷土博物館を中心に市民による「聞き書き隊」を発足させて行なった。「I」が水産関係者の聞き書きだったの対し、「II」はそれ以外の人たちの聞き書き。さらにこの「II」では、この聞き書きをどう今後のまちづくりにつなげていくかというシンポジウムの記録も。


もう一つはNPO法人市民科学研究室・低線量被曝研究会(http://www.shiminkagaku.org/radiation.html)からの『原爆調査の歴史を問い直す』。現在の放射線被曝の研究の基礎をなしている戦後日本における原爆調査。しかし、そこには米国の思惑も重なっていて、その歴史を批判的に検討する必要がある。市民による市民のための科学を追究してきた「市民科学研究室」が、この問題に取り組んだ貴重な報告書。


福島原発事故後の「放射線騒動」は、市民の目線での科学の必要をあらためて浮き彫りにした。市民の目線で、それなりの専門性を備えながら進める科学や研究の成果がこうやって出てきていることは、たいへん頼もしいことだ。