山田伸一『近代北海道とアイヌ民族ー狩猟規制と土地問題』 

畏友山田伸一さんの『近代北海道とアイヌ民族ー狩猟規制と土地問題』(北海道大学出版会)がようやく刊行。待たれていた本。近代(主に明治期)のアイヌ政策について、「狩猟・漁業規制」と「土地下付」という2つの問題に焦点を当てて書いた論考を集めたもの。


動物と土地、この2つをめぐり、北海道の地でどういう施策が行われたのか、それとアイヌ民族の生活の変化がどう呼応したのか、しなかったのかをこの本は論じる。「近代日本の施策 vs アイヌの同化あるいは抵抗」という単純な図式を超えて、ダイナミズムの中に論じようという姿勢を山田さんはもつ。


史料を丹念に集めて整理し(山田さんは「シリョウ採集民」という言葉を使っている)、そこから語らしめるという作業なので、とにかく読む方は大変。僕もまだいただいたこの本をパラパラめくっている段階。しかし、史料と格闘している山田さんの記述を僕らも追体験しつつ読むことで、北海道の近代・アイヌ民族と僕らの間の認識の溝は少しずつ埋められていくのだろう。


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