ドイツ再生可能エネルギー視察の旅(3)

ドイツ再生エネルギー視察の旅。昨日(9月12日)は、フランクフルトから南東に50キロくらいのメンヒベルク(Moencheberg)で活動するウンターマイン(Untermain)エネルギー協同組合を訪問。


協同組合(ドイツ語でgenossenschaft)の中心人物5人ほどが私たちを大歓迎してくれ、あちこち連れて行ってくれた。


この協同組合、この地区で環境について考えるサロン的な「クラブ」(ミルテンベルク・エネルギーフォーラム、2007年設立)を前身とし、再生可能エネルギー事業を進めるために2010年設立。現在組合員92名。


この「協同組合」という組織形態を選んだことの意義をみなさん強調。曰く「参加や投資がしやすい」「プロジェクトを社会的に受容しやすい」「地元に利益が落ちやすい」。


ちなみにエネルギー協同組合はドイツ中で急増中で、2011年現在で586あるという。


ウンターマイン・エネルギー協同組合は、現在地元の銀行と共同で投資して太陽光発電を4箇所に設置。そのうちの一つを見せていただいた。2.3MWのメガソーラー。農家の地とを20年間の契約で借地(7ha)。600世帯分の電気に当たる。


しくみがもう一つ分からないところがあるのだが、協同組合の組合員は、プロジェクトごとに投資をすることができる。見せてもらったメガソーラーの場合、17人の組合員が投資に参加。


ウンターマイン・エネルギー協同組合は、現在太陽光発電だけだが、風力発電も計画中。そこで隣の地域でやはり協同組合で風力発電を行っているところを訪問。


元米軍の敷地が地元自治体に返され、グリーン産業を育成する場所にしていされたところにその風車は立てられていた。この風車、地元銀行が協同組合を設立する形で事業が始まった。「なぜ銀行が協同組合を?」「それは偶然。個人的なイニシアティブで始まったのさ」。


オーデンバルト・エネルギー協同組合の代表クリスティアン・ブロイニッヒさん。オーデンバルト民衆銀行の役員でもある彼がイニシアティブをとり、風力発電のための協同組合を設置することを銀行で提言して、この風車ができた。


最後に訪れたのは、近くの村で行われているバイオガス・プラント。地元農家が2006年に始めた事業。「食料生産だけに頼る農業から、エネルギー生産を含めた事業の方が安定する」、と始めたという。原料の半分はトウモロコシ、残りは他の作物、草、家畜糞など)。


現在電気と熱の両方を地元に供給。村全体がここの熱で暖房をしている(温水を村までパイプで運んでいる。夏は地元の製材会社がチップを乾かす熱に利用)。


ウンターマイン・エネルギー協同組合の5人衆は、一日中僕らにつき合ってくれた。一人は電気技術者、一人は建築家、一人は会計、とそれぞれ専門をもっている。隣の協同組合の風車でも、バイオガス・プラントでも、本人たちが熱心に質問。僕らとの議論も楽しんでくれた、たいへん気持ちのよい人たちであった。