ドイツ再生可能エネルギー視察の旅(6)

一昨日の9月15日は、エネルギー自給の村として注目を浴びているフライアムト村、そして、原発反対運動の先駆けとして有名なヴァイスヴァイル村を訪問した。


フライアムト村は環境都市フライブルクから北に車で20分のところに位置し、5つの集落からなる。このには現在、5つの風車、2つのバイオガス・プラント、200の太陽光発電、4つの小水力発電がある。外国からを含む観光客も多く、農家民宿も盛ん。人口4,000人の村だが、専業農家は非常に少なく、多くは近隣の都市フライブルクに通勤している。


まずバイオガス・プラントを手がける農家を見学。この農家は2003年からバイオガスによる発電と熱エネルギー供給を始めた。トウモロコシ1/4と牧草1/4に家畜の糞1/2を混ぜる。家畜の糞は近隣の農家から入れ、バイオガスの結果生みだされた堆肥を逆に農家に供給する。現在熱エネルギーは、断熱を施したパイプを使って近隣の学校と14世帯の家に供給。電気は現在0.18ユーロ/kwhで売っている。10年前に70万ユーロ(7,000万円)投資し、さらに3年前に25万ユーロ(2,500万円)追加投資してこのバイオガス・プラントを始めたという。


エネルギー自給に熱心な酪農家のシュナイダーさんの家も訪れた。15頭の乳牛を飼っている農家だが、家に大きなウッドチップ・ストーブを持っている。一冬で100立方mのウッドチップを利用しているという。5年前には太陽光パネルも設置、また、牛乳の冷却排熱を再利用して温水を作作ることも行っている。


このシュナイダーさんの広大な土地の一部に風力発電が立っている。この風車は、村の住民たちを含む142人の投資者と2つの銀行からの融資によって立った。村の住民たちが風車設立のためのクラブを設置して3年間事前調査したが、資金について困難があったため、エコシュトローム社のマルコウスキーさん(私たちが9月14日に訪れた会社)に相談し、そのオーガナイズのもとで建設された。2001年に発電を開始。


エネルギー自給の村フライアムト村のあとに訪れたのは、ヴァイスヴァイル(Weisweil)村。1970年代のヴィール原発建設計画反対運動の中心の村である。


「原発お断り」の旗が掲げられたタウンホールで、この村の運動の軌跡についてプレゼンを受けた。当時の警察と対峙する写真、トラクターデモの写真などが示された。運動の過程では、「森の学校」と称する自主講座が開かれ、そこで住民たちは原発のことのみならず自然についても学んだ。


現在住民の40%の家に太陽光パネルが設置されている。「私たちの反対運動は、単に反対だけでなく、代替エネルギーについても考えてきたことが勝利の要因になっている」。「私たちの運動では、女性の力が重要でした」。


原発反対運動と再生可能エネルギーがどこでも自然につながっている。


(以上の記述、急いでまとめたものなので、若干の事実誤認などがあるかもしれません)


フライアムト村については、以下を参照――

遠州尋美「市民が主役の再生可能エネルギー普及:シェーナウEWS とフライアムト村」  

“In Germany, ruddy-cheeked farmers achieve (green) energy independence”, Christian Science Monitor, August 21, 2008

“Freiamt’s green adventure”, Sunday Herald, December 7, 2008 

“Green Energy”, Clean India Journal, Feb. 2009