日本自然保護協会セミナー「東北沿岸の自然は今」

日本自然保護協会の沼田眞賞特別セミナー「東北沿岸の自然は今」に参加しました。会場の清澄庭園大正記念館(東京)は、岩崎弥太郎が作った美しい庭園(東京にこんな場所があったことを知りませんでした)。


まずは協会の小此木宏明さんの報告「東日本海岸調査結果報告~海岸の植物は今」。震災前に各地域の協力員のみなさんが行っていた海岸植物群落の調査について、震災後東北~関東の海岸部についてもう一度行ってもらったものの結果報告。多くの海岸が消失したこと、海岸の人工物が脆弱だったこと、さらに、植物の種類はほぼ変わらないが、減った種(多年生のものが多い)、増えた種(一年生のものが多い。含む外来種)があること、などの報告。この貴重な調査の結果については、http://tohoku.ikimonomap.info/ で公表されています。


私は「宮城県石巻市北上町の自然・コモンズ・復興」というタイトルで、(1)“人と自然との相互作用”と“自然の共同管理のしくみ(コモンズ)”とが関連しあっていること、(2)そうしたコモンズのしくみは、他のステークホルダーとの協働もあいまって、復興へ向けての強さ(レジリアンス)になっている、ことを報告。


最後は畠山信さん(NPO法人森は海の恋人副理事長)の報告「森は海の恋人 ~海の民と巨大防潮堤建設について~」。畠山さんによると、防潮堤建設計画について住民に知らされたのはたいへん遅かった。最初誰もそんなことが計画されているなんて信じなかった。ようやく最近地域での議論が始まった。しかし、一方、防潮堤建設へ向けての“脅し”が強くなっている。畠山さんは、防潮堤を作った方がよいところ、作ってほしいというところもある、しかし、作るべきでないところも多い、という。ご自身の集落はみんなで反対。今回の経験からも、引き潮などを見て、それを危険と感じられるかどうかが防災の鍵、と。防潮堤はそれと逆行し、ソフトの防災をこわしてしまう危険がある。


Ustream中継の録画もたぶん見られるはずです→http://www.ustream.tv/channel/nacsjonair