【71】国会図書館サーチ

国会図書館(東京都千代田区)を久しぶりに訪れた。東京に住んでいるころはよく行ったが、しばらく行っていなかったら、おしゃれで使いやすそうな図書館に変身していた。

 

言うまでもなく国会図書館は、日本の図書館の「頂点」に立つ立場の図書館。「国会」という名前が付いているので誤解している人も多いが、要は国立中央図書館。で、その国会図書館が現在力を入れているのが電子データとデータベースの整備だ。

 

『自分で調べる技術』という二〇〇四年に出した本の改訂版を執筆する過程で、どうしても国会図書館に聞いておかなければならないことがいくつも出てきて、今回その取材で国会図書館を訪れた。

 

国会図書館の担当者に聞いたのは「国会図書館サーチ」の仕様について。その話は細かい技術的なものなので省略するが、「国会図書館サーチ」(http://iss.ndl.go.jp/)は、図書・雑誌・資料・デジタルデータの総合検索サイトだ。近年「国会図書館サーチ」はどんどん進化していて、本や雑誌論文・記事を調べるというとき、「とにかく国会図書館サーチで」と言えるようになってきている。

 

「国会図書館サーチ」の特徴は、本と雑誌記事・論文が横断的かつ網羅的に調べられること、本は公立図書館や大学も含めて一括して調べられること、雑誌論文・記事本文については、PDFが外部のデータベースにあればそこに簡単に飛んでくれ、なければそのコピーを国会図書館から取り寄せることが容易にできること、だ。本の検索は、中の章タイトルなどからも検索できる(ただしそれができるのは三割程度の本にとどまる。この「三割」というのは、実際に百冊くらいの本についてがんばって調べてみた結果の数字)。もちろん、本の現物を送ってもらうことはできないので、それは図書館などで見ることになる。

 

国会図書館サーチだけで本や雑誌記事・論文についてはほとんど調べられるよ、と言いたいが、それにもう一つ加えるとしたら、Google Books(https://books.google.co.jp/)。Google Booksがすごいのは、本の中身(つまり本文)を全文検索してくれること。たとえば「地域おこし協力隊」の事例が描かれた本はないかとGoogle Booksで検索すると、たくさんの関連の本がヒットする。その多くは国会図書館サーチで「地域おこし協力隊」で検索しても出てこないものだ。

 

いくら政権が反知性主義に陥ろうとも、市民が調査して政策提言していく価値は低まったわけでない。市民による調査、市民による政策提言の強力なツールの一つとして「国会図書館サーチ」はもっと使われてよいだろう。