被災者自身による記録

東日本大震災についての本はすでにたいへん多く出されているが、研究者やメディアが書いたものなどは一部を除いてあまり参考にならないなあというのが実感だ。そこで、被災者の聞き書きや本人たちの記録ばかりを集めている。以下、私が集めたものを原則発行順に。


萩尾 信也 (著)

『三陸物語』

毎日新聞社 (2011/9/29)


萩尾 信也 (著)

『生と死の記録 ―続・三陸物語―』

毎日新聞社 (2012/6/30)

(毎日新聞記者によるこの2冊は、聞き書きではないが、一人ひとりの人に焦点を当てた記録)


創風社編集部 (編集)

『震災の石巻‐そこから―市民たちの記録』

創風社 (2011/11)


創風社編集部 (編集)

『震災の石巻―再生への道 市民たちの記録』

創風社 (2012/11)

(この2冊は、創風社が独自に集めた被災者等の文章。詩あり、記録あり、論文あり)


堀込 光子 (著), 堀込 智之 (著)

『海に沈んだ故郷(ふるさと)―北上川河口を襲った巨大津波 避難者の心・科学者の目』

連合出版 (2011/11)

(宮城県石巻市雄勝の元高校教師による地震当日等の克明な記録と分析。たいへん貴重)


赤坂憲雄 (編集)

『鎮魂と再生 〔東日本大震災・東北からの声100〕』

藤原書店 (2012/3/19)

(100人の聞き書き。宮城が中心)


三陸河北新報社「石巻かほく」編集局 (編集)

『津波からの生還 東日本大震災・石巻地方100人の証言 』

旬報社; 初版 (2012/7/25)

(やはり津波当日のことが中心)


金菱 清 (編集)

『3.11 慟哭の記録―71人が体感した大津波・原発・巨大地震』

新曜社 (2012/2/23)

(被災者71人の寄稿による記録)


Create Media(今一生)(編)

『子どもたちの3.11 東日本大震災を忘れない』

学事出版 (2012/4/10)

(ネットで募集して集まった、岩手・宮城・福島・茨城の10~19歳の体験記集)


東京財団 (編集)

『被災地の聞き書き101』

東京財団 (2012/9/7)

(「聞き書き甲子園」のNPO法人 共存の森ネットワークが震災後行った聞き書き記録。大部。書店には置いていないが、Amazonで買える)


真殿 達 (監修), 麗澤大学聞き書きサークル (編集)

『私は、あなたを忘れない: 聞き書き:学生たちが記録した東日本大震災』

麗澤大学出版会 (2012/11/13)

(大学生たちによる仙台市、名取市、盛岡市の被災者の聞き書きと大学生自身による文章)


NHK東日本大震災プロジェクト (著)

『証言記録 東日本大震災』

NHK出版 (2013/2/23)

(NHKで放映されてきた「証言記録東日本大震災」と「あの日わたしは」を活字にしたもの。地震当日の話が中心)


河北新報社 (編集)

『私が見た大津波』

岩波書店 (2013/2/28)


やまもと民話の会 (編集)

『巨大津波: 語りつぐー小さな町を呑みこんだ』

小学館 (2013/3/4)

(宮城県亘理郡山元町民。津波体験の記録が中心)


ベビースマイル石巻有志の会

『子どもたちへ――ママたちがいま、伝えたいこと』

金港堂出版部 (2013/3/30)

(若いママたち自身の記録。地震当日のことと今の思いが中心)


これらを読み解くだけでも、震災について、多角的な見方ができるるはずだ。しかし、一方、リストから分かるとおり、記録は、地震当日や初期のことに集中していて、仮設に入って以降の記録があまりない。


記録はもっと作られる必要があるだろうし、被災者自身の語りを継続して形にしていくべきだろう。


(付け足し)

被災者自身、ないし被災者に近い人が調べて書かれたものとして出色だなあと思ったのは、


『大槌町 保健師による全戸家庭訪問と被災地復興―東日本大震災後の健康調査から見えてきたこと―』

村嶋 幸代 (著, 編集), 鈴木 るり子 (著, 編集), 岡本 玲子 (著, 編集)

明石書店 (2012/3/14)